アーティストの良さをそれぞれの角度から語ってもらう企画「某アーティストのマニアに聞きました。」 #ボーマニ。
今回は「ZAZEN BOYS」について、東京を中心にDJ活動をしているマオ≒スイカ(泡沫すいかナイト)さんにお話をお伺いしました。
ー今回もよろしくお願いします!
よろしくお願いします!
好きな人はとことんハマるであろうバンド、ZAZEN BOYS
ー今回はZAZEN BOYSを語っていただきます。すいかさんにお越しいただきました!よろしくお願いします!まずすいかさんの簡単な自己紹介をお願いしてもいいですか?
都内を中心にマイペースにDJやったりしています、すいかと言います。最後に開催したのは4年ぐらい前になりますが、「泡沫すいかナイト」という女性DJにサンタコスプレをしていただいて僕が個人的に楽しむDJイベントを主催しています。
またタイミングで開催できたらいいなと思ってます。
ー乞うご期待!
ーさて、ZAZEN BOYSについても、まずはどういうバンドかを紹介してもらってもいいですか?
かの有名なNUMBER GIRLというバンドが近年復活したんですけど、20年前の人気絶頂時に解散した後、Vo.&Gt.の向井秀徳さんが新たに結成したバンドがZAZEN BOYS(通称:ZAZEN)です。
ーありがとうございます!どんな感じの音楽やっていますか?
ざっくりいうとロックなんですけど、癖のある、いわゆる王道ロックではない…好き嫌いはとても分かれるかもしれないけども、好きな人はとことんはまるだろうなって感じの音楽です。
ー確かに。今回はなぜZAZEN BOYSで語ろうしてくれたんです?
好きなバンドやアーティストは多くいる中で、ZAZEN BOYSと出会ってからは一番ライブに行っていたのがZAZEN BOYSだったので。
ーそうだったんですね、知らなかった!どんな出会いでした?
結成から約4年ほど経った時に、06/07のCOUNTDOWN JAPAN(通称:CDJ)のライブ映像で初めてZAZEN BOYSを観て。
そこで衝撃を受け、こいつ(ZAZEN)はやばい!ライブに行かねば!と思いました。
ーなるほど~!衝撃受けた部分ってどういうところでした?
漠然としちゃうんだけど、今まで聞いたことのないようなひねくれたロックというか。
ーもともとはどういう音楽を聴いてたんですか?
高校生だった当時は、いわゆるメロコア、J-POPとかアニソンを聞いてました。
そんな中で聞いたことない音楽に出会ってしまったみたいな感じですかね(笑)
ー確かに、そのジャンルと比べると全く別ジャンルといっても過言ではないですよね!で、その時にライブに行かないと!と。
はい。
で、年が明けてしばらくしてからライブに行くことになるんですが、実は初めて映像で観たCDJがひなっち(元Ba.日向秀和)のラストライブだったんです。
ーなんと!
で、脱退後に新たにベースを募集しますって活動休止期間のようなものがあって。
Ba.の吉田一郎さんが正式メンバーとして入り、MATSURI SESSIONという日比谷野外音楽堂で開催されたワンマンでお披露目しますって時に初めてライブに行くことができたんです。
ーワンマンが初ライブって猛者ですね!最初はフェスや対バンで観る人が多いイメージがあるんですけど。
タイミングの問題かな?(笑)
ー一番直近であったライブがワンマンだったみたいな!(笑)
そんな感じだったと思う(笑)
当時のZAZENからもうNUMBER GIRLの勢いを継いでて、ひなっち(元Ba.日向秀和)のラストライブになったCDJも一番大きなステージでやっていたし。
一郎さん(元Ba.吉田一郎)が入ってからもライブがすごすぎて、そこから僕は通うようになったんですよ。
ー一郎さんが入ってからもやっぱり凄かったんですね。
もう、とにかくライブバンドなんですよ。
ライブになるとバシバシアレンジも変えてくるし。
スタジオ音源というものがオリジナルとして存在しているだけで、全く別のものに聞こえるというか。
ーうんうん。しかも毎回毎回アレンジが変わってくる印象もあります!
そうなんですよ!
毎回変えてくるから、それこそ。
ーだから、次は何来るんだろう、次のライブも見逃しちゃいけないなって思いになって通い詰めちゃう感じですかね?
そうですね。毎回違う発見があります。
ー私自身、その印象が強かった理由が、YouTubeのコメントでファンの方が毎回ライブ映像をDVD化してほしいって言ってるのを沢山見かけたんですよね。
間違いない。それはファンが皆思ってることだと思います!
ーライブに通い詰めてる中で、他にもこの点がいいなという魅力ありましたか?
ライブ中に独特の緊張感があって、なんて言うんだろう…。
演奏する中でキメが多くて、ソロ後に「ジャンッ」とか、静寂が続いた後の「ドカン」みたいな合図一つで、指揮者がいるみたいにまとまるような。
"静"と"動"がはっきりしている感じですかね。
ーそれが際立つライブ中の曲はありますか?
ほぼ全部そんな感じですね。
印象的なのはホテルの一室にメンバーが集まって、「Honnoji」のアレンジを変える動画。
口だけで演奏し始めて、素人にはついていけないようなクオリティになってる。
ーこれすごいですよね…。
それに対応できるメンバーも凄いし、常人離れした練習風景を見ると、ライブ本番の独特の緊張感が観てる側にも伝わってきます。
ーグルーヴが生まれるみたいな感じですかね!
そうですね。
そういうのが楽しいですし、魅力の一つです。
ー音楽好きな人にはたまらないですね。向井さんのアドリブだろうなって部分が多々あるけど、違和感を感じさせないような世界観の作り方もあるなと思ったり。
世界観はすごいあると思います。
歳を重ねるごとに、お茶目な部分がどんどん出てきてるような世界観になってきている
歳を重ねるごとにお茶目な部分がどんどん出てきてる、というか現わせようとしてライブをしている気がします。
ー例えば?
先ほど言ったキメの後に突然ソロで歌いだす所とか。チャルメラの歌を歌ったりとか。
アンコールで「安眠棒」って曲をバンドメンバー全員口だけで演奏するっていうもありましたね。
ーそれは面白いですね!
突然カバーしだしたりもするんですよ。
Van Halenの「JUMP」を一回のライブで2,3回やってた時期もありました(笑)
ーめっちゃやる!(笑)向井秀徳ワールドですね(笑)
そうなんですよ。
年々、面白おじさん味がでてきています(笑)
ー歳をとるごとに音楽の中にどんな遊び心を入れたら音楽好きにハマるのか肌でわかっていて、それを感覚でやっちゃうような感じがしますよね。
ーちなみに、こんな流れで聴いてみてほしい曲順あったりしますか?
最近はアレンジがより激しくて、1曲の中でメドレーを組み込んだり。
具体的にいうと、『すとーりーず』ってアルバムの「暗黒屋」という曲をベースに「気がつけばミットナイト」や「泥沼」を挟み挟みアレンジしたり。
ー『すとーりーず』メドレー!
そうです。なのでアルバムの曲を聞きこんでからライブに行くと、より楽しく聴けると思います。
ーなるほど。4年ぶりの作品なんだ!
ですね。
ただZAZEN BOYSとしての新曲はまたそこから何年も出してなくて。
この前CHAI with ZAZEN BOYSという名義で「ACTION」という曲を出したのは新鮮でした(笑)
ー私もここコラボするの?!って驚いて。更に面白いなと思ったのが、MVが縦長になってて、新しいなと思ったのが印象的でしたね!
MVも最高でしたね~、CHAIというギャル集団に向井秀徳というギャルが混じっていてとてもよかったです(笑)
曲も一発でZAZEN BOYSの音だと思ったし、久しぶりの新曲にファンの皆も喜んだことではないでしょうか。
ーライブの曲も好きだけど、新曲は新曲で待望ですもんね~!
まぁ何でこんな何年も新曲を出さないでライブをやっていけるのかって言うと、最初に言ったように曲のアレンジとかを毎回変えてきたり、カバー曲をしたりで、それはそれで飽きないからですかね。
でもやはり新曲は欲しいですね!
ーこの記事見てくれるといいですね!(笑)
そうですね~!
メンバーが変わっていく先に完成形に近づいているような感覚
ー今はコロナ禍ですが、ライブはされてますか?
やってますね。
だんだん規模も大きくなっていってる気がします。
豊洲PITでやってたり、新木場STUDIO COAST(通称:COAST)でもやってましたし。
ーCOASTついに閉まってしまいましたね。
もしかしたら、個人的にCOASTに行った最後のワンマンライブはZAZEN BOYSかもしれないです。
ー思い入れだ…!思い入れの話で言うと、ベースの話も印象的だったとか?
今までZAZENのベーシストってとにかく期待を上回る演奏力があって驚いていたんですよ。
現在ベーシストを務めているMIYAさんの加入が決まった時は、MIYAさんが活動されてた385というバンドを知っていたので、この人ならZAZEN BOYSの今までの期待値も超えて来るだろうし、よくぞ選んでくれたなとすら思いました。
今のメンバーは割と完成形な感じがしますね。
ー強いな…!
あとは曲でいうと、「半透明少女関係」という曲を初めて映像で観たときに衝撃を受けて、なんならこの曲が聴きたくてライブに行ったんです。
でも、それ(CDJ 06/07)以降のライブから中々やらなくなって、数年経ってやっと聴けたと思ったらかなりアレンジが加えられていて。
もちろんアレンジも嬉しいんだけど、原曲キー(略:原キー)をたくさん聞いてきた側からしたら原キーもやっぱり聴きたいじゃないですか。
ここ最近、今のメンバーになってから原キーでまたやり始めたんですよ!
ーテンション上がりますね!
待ってました!って感じです。
約15年待ちました。(笑)
ーZAZEN BOYS好きな人がこの記事を読んだら「本当にそうだよね」って気持ちの人も多そう。
ライブ映像では、SYNCHRONICITY'21 Autumn Liveで「半透明少女関係」のイントロが流れ始めた瞬間に、最前あたりで飛び跳ねている人がいるんです。
「そうだよね。そうなるよね。」って思いました。(笑)
ー私も映像観ました!ライブで「この曲やアーティストが大好きなんだろうな、この人」って動きをみると、更にライブが楽しくなっちゃうみたいなのありますよね!
それくらい好きな人の近くにいるとやっぱり、より楽しくなりますね!
ー私今日来るときに「半透明少女関係」とNUMBER GIRLの「透明少女」も聞いてきたんですよ!曲名だけ見たときは似ている曲なのかと思いましたが、全く別の曲ですね。
まさに、その2曲は全く別の曲として聴いていただけたらって感じですかね。
「半透明少女関係」に限らずですけど、ZAZEN BOYSの曲ってそこまで歌詞に重きを置いてない気がするんですよ。違う曲でも同じ歌詞、同じフレーズの繰り返しとかあるし。
僕は元々歌詞にそれほど興味がない側の人なので、そういう意味でもZAZENはある種のインストバンドとして楽しめているのかもしれないなと思ってますね。ボーカルも楽器の一部というか。
ー私も最初は歌詞よりも曲を聴いてしまうので気持ちわかるかも!
タイトルこそ似てるけれども全く違う曲だし、ボーカルと作曲者は同じだけどもNUMBER GIRLとZAZEN BOYSは混合しないのかなと思います。
なのでどちらをより好きになるかは好みの問題になってくるんじゃないですかね。
ーZAZEN BOYSはZAZEN BOYSとして聴いた方が良さそうですね!
ですね。
NUMBER GIRLとは全くの別バンドとして聴いてほしいです!
ーありがとうございます!
グルーヴを感じれるライブがそこにはある
ー先ほど、最近では原曲キーでライブをやってくれたりと新たな変化があったみたいですが、他にも面白い変化はありました?
今のメンバーになってから、向井さんがずっとライブで使っていたキーボードをとっぱらって本来のギター1本のスタイルに戻ったんですね。それによって生音感というか、グルーヴ感がより増したなって気がしますね。
ーグルーヴを感じるためには、結論としてライブに行けってことですね(笑)
そうですね~、スタジオ音源とかにちょっと物足りなさを感じちゃうんです。
ーですよね!それがメンバー1人のカリスマ性ではなく、ZAZEN BOYSは全員が全員際立っていて、1人でも欠けてしまったらZAZEN BOYSではなくなってしまうのが魅力的だなって思いましたね。
向井秀徳さん個人としても活動をしているんだけど、僕個人としてはバンドの方が好みですかね。
ー1人1人の組み合わさった相乗効果がバンドの良さにありますよね。
その中でもキメだとかライブ中の対応力もあるのは、かなりストイックな練習をしている結果だと思うんです。
ZAZEN BOYSのメンバーだから出来ることだと思います。
ー私自身がコピーバンドやった時も思いましたが、キメって難しい…(笑)
僕はバンドで楽器をやったことはないんですけど、ZAZEN BOYSをコピーするには相当な練習が必要になるんじゃないかと思いますね。
よっぽど息を合わせないと無理だと思います(笑)
ーZAZENはライブを観てこそだとは思うんですが、やっぱり初めての人にとってライブに行くことのハードルって高いと思うんですよ。なので、まずは映像や曲で聴いてほしいものありますか?
雰囲気を掴むためにも是非公式のYouTubeのライブ映像を観ていただきたいのですが、その中でも「Honnoji」は比較的有名だと思うし入りやすいと思う。
この動画の「Cold Beat」のベースソロとかも、凄いです。MIYAさんのお披露目ライブ。
ーこれか!話逸れちゃうんですけど、この動画でピックアップされてる「闇鍋で集まった4人が全員で肉をもってきた」ってコメント気になってました(笑)
全員主役みたいな感じですよね(笑)
ーそう!ZAZENは全員がいてZAZENになるって言う話と似てるな、って思いました。
向井さんがフロントマンだから一番目立ってはいるんだけれど、メンバーに対しても絶対的な信頼を置いてるからこそ、こういう見せ場みたいなのをしっかり持ってきてるのかなと。
ーメンバーへのリスペクトも凄い感じますね!
向井秀徳は結成時からZAZEN BOYSのことを「法被を着たレッド・ツェッペリン」と例えているんです。
それは音楽スタイルの模倣という意味でなくて、それぞれの個性の集合体というバンドの概念を言い表すための言葉だそうで。
ー深いな…。
同じ日にやっていた「Asobi」も衝撃を受けたのでおすすめします。
今はだいたいライブの最後にやる曲で、この日のライブからギター1本のスタイルに戻ったんですよね。
ーありがとうございます!
他にもキメが際立ってるライブ定番曲だと是非「HIMITSU GIRL'S TOP SECRET」も聴いてほしい。
あとはリハーサルですね。
フェスの出番前とかだと、普通のバンドだったら音出しのために1曲リハーサルみたいなことをすると思うんですけど、ZAZEN BOYSはジャムセッションみたいなのをやることが多くて。
ーもはやリハではないですね!
そうそうそう。
急にセッションみたいなものをやり始めて、時間になったらそのままの流れで1曲目に突入するみたいな。
そこも見逃せないところです。ライブがセッションの延長線みたいな感じだから、そういうのを楽しめる人は好きになれるんじゃないかな~と思います。
リハの話ではないですけど、ライブで他に新鮮だなぁと思ったのが、相当前ですが対バンの立川志らくさんとのライブ。
ー立川志らくさん?!
落語家の方で、M-1の審査員とかもされているあの立川志らくさん。
その方とのツーマンがあって、立川志らくさんの落語から始まりその後にZAZEN BOYSっていう流れだったんですね。
最初に配られたパンフレットにはお品書きみたいな感じで当日のセットリストが書いてあって。
ーライブってどの曲が来るかわからないことも楽しかったりするから新鮮!
そうなんですよ。
さらに、落語もこういう機会がなかったら聞くこともなかっただろうし、ライブ後にSNSに感想を書いたら立川志らくさんがコメントくれたりして。
そんなライブもありました(笑)
ー面白い!落語以外のこともまたやってくれるかもしれないですね。
他に今まで印象に残ってる対バンでいうと、銀杏BOYZとか、あとMIYAVI。
MIYAVIの対バンは渋谷QUATTROで開催されていて、入場前に外で待ってたんです。
向井さんがお客さんに紛れて表から入ってきた際に、あまりの数のMIYAVIの女性ファンたちに驚いたのか、僕の目の前を通るときに小さい声で「すごいなこりゃ…」ってつぶやいてたことを覚えています(笑)
ー全く違うジャンルのアーティストとコラボするからこそですね(笑)
あ!ZAZEN BOYSと東京事変とSOIL&“PIMP”SESSIONの3マンもあった!
ー贅沢な!
ZAZEN BOYSを漢字一文字で表すと「変」
ー最後に恒例のコーナーなんですけど、すいかさんにとってZAZEN BOYSを漢字一文字で表すと?
過去の記事見てて被ってしまうんですけど「変」って漢字ですかね。
ー被ってもそれぞれの表し方があるので問題ありません!なんで「変」なんですか?
まず、変わってるじゃないですか(笑)
ーまちがいない(笑)
ていうのもあり、バンドメンバーも変わってきたし、変拍子もすごい。
あと変態的だなって。
ーいい意味ですよね?(笑)
いい意味です(笑)
"HENTAI"って言葉をよく使ったりしてて。
歌詞に入っていたり、「HENTAI TERMINATED」って曲があったり。
ー自他共に認める変態だ!笑
だから漢字で表すなら、「変」かなぁって思います。
ーありがとうございます!音楽好きでも、日々刺激を求めたり、グルーヴを感じたり。そんなことを求めている人だとなおさらZAZEN BOYSは合いそうですね。
はい。是非聴いてもらいたいです!
ーありがとうございました!
ありがとうございました!