「ELLEGARDEN」ボーカル・細美武士の歌詞と声がいつも俺たちのことを助けてくれる。-前半-

アーティストの良さをそれぞれの角度から語ってもらう企画「某アーティストのマニアに聞きました。」 #ボーマニ。

今回は「ELLEGARDEN」について、大阪を中心にDJ活動をしているハル(untitled / ワイフェス / UTAGE)さんにお話をお伺いしました。

ーよろしくお願いします!

よろしくお願いします!

人気絶頂期に活動を休止。2018年に活動再開を報告して今に至るバンド、ELLEGARDEN

ー​​まずは簡単に自己紹介をお願いしてもいいですか?

はい。大阪でuntitledっていうDJイベントに所属しているハルっていいます。

自分の主催ではワイフェスっていう様々なアーティストを友達に特集してもらってフェスを作っていたり、パワーポイントでVJをやるUTAGEっていうイベントもやってます。

ー​​ありがとうございます!今日はELLEGARDEN(通称:エルレ)を語ってくれるとのことで、どんなバンドですか?

皆知ってそうで難しいですね!笑

ELLEGARDENってバンドは男性4人組ロックバンドで、1998年に千葉で結成されました。

確か2004〜2005年ぐらいに火がついて、すごいスピードでどんどんどんどん頂点ぐらいまで上り詰めたんです。

で、ちょうど2008年ぐらいの頂点に登りきったぜっていう時に急に活動休止をして。10年経った2018年に活動再開を報告して今に至る、というようなバンドですね。

ー既に壮絶。

音楽の中身としては、いわゆる西海岸ポップパンクといいますか、なんだか優しく切ない曲が多い。

そして英語詞が元々多いバンドで、ボーカル・細美さんの英語の発音が上手いので、最初聴いた時は「こいつは本当に日本人なのか…」と思いましたね。

言っちゃ悪いですけど、いわゆるメロコアバンドって呼ばれてる人たちの中には英語詞の発音がめちゃくちゃなことも多くて。だけど細美さんの発音は聴きやすくて、洋楽ファンからも愛されてるバンドかなって勝手に思ってます。

ー1998年、しかも大晦日に結成したっていう情報も伺いましたが。

ライブハウスに遊びに行ってた細美さんを、ギターの生形さんが誘ったのがきっかけらしいですね。

ーそうなんだ。私勝手に細美さん主体かと思ってました。

元々、細美さんがどっかのバンドのギターをやっていたらしく。

ーほお。面白い繋がりがあるもんですね!

細美武士の歌詞と声がいつも俺たちのことを助けてくれる

ーそんな中でハルさんが好きになったきっかけは何だったんですか?

2003年かな。姉が音楽好きだった影響もあってよく音楽番組を見てて。

例に漏れず深夜12時くらいにやっていたCDTVを見ていたら、エンディングに「ジターバグ」が使われてたんですよ。

で、なにこのバンドかっこいいな、名前覚えとこうってメモをして。

その当時CD買うお金全然無かったけれどもやっぱりほしいと思ってCD買いに行って、そこから聴き始めました。

ポルノグラフィティ(通称:ポルノ)とかBUMP OF CHICKEN(通称:BUMP)とか、全然毛並みの違うバンドも好きだったので、ELLEGARDENを聴くことはそこから一旦止まってて。

止まってたんですけど、カラオケに一緒に行った友達が「Supernova」を歌った時に、このバンド知ってるわ、CD1枚持ってるなみたいに思い出した。

その友達にアルバム『Pepperoni Quattro』借りて、気づいたら大阪のFM802っていうラジオ番組のヘビーローテーションに「SpaceSonic」が選ばれてたんですよね。

US西海岸直系の疾走感あるメロディアスナンバーを聞かせるバンド、Ellegardenの3rdアルバム。彼らお得意のエモーショナルで切ないメロディーと日本語と英語が折り重なった歌詞が印象的な全10曲を収録。

「お、ELLEGARDENすごい売れてきてるじゃん」ってなって、学校の友達にも何人かエルレを知ってるやつが出てきて、少ない小遣いの中でやりくりしてCDをどんどん買い足していった。

そんな出会いでしたね。

ーその当時のCDってまだ高価格帯かなと思うんですけど。

細美武士、いつもアルバムを2,500円でしか出さないんですよ。

ーライブと一緒だ!

そうなんですよ。アルバムの値段よりも安くライブしないと俺は満足できないっていうタイプの人なんで基本2,500円だったはずですね。

ーライブも2,500円なのは何ででしたっけ?

アルバムの曲を演奏する生の現場(ライブ)が2,500円っていうのは、本当に俺たちはそのアルバムの音源よりもいい音楽ができるのかっていうのもあるし、

繰り返し聴けるアルバムと比べて、1回きりのライブをこの値段より高くするのはおかしいと思ってるっていうのが本人の中であって。

ーただ、アルバムだけでなくライブも重要視しているところにも繋がってくるんですかね。

ライブに行ってこそ、彼らの魅力は大きく伝わるのかなって思いますね。

ー確かに!まさに私も、この前初めてELLEGARDENをライブハウスで見て、本当に夢のような空間だったんですけれども、後でまたお伺いしましょう。

ーその前に、ポルノやBUMPなど色んなアーティストを聴いてたと思うんですけれども、その中なんでエルレのCDも買っていこうとなったんですか?

最初のきっかけがやっぱ「ジターバグ」で、歌詞がいいなって。

ー​​例えば?

あの曲って落ち込んでる人を助けるみたいな曲だと思うんですけども、しんどいなって思ったときに、

いつだって君の声が

この暗闇を切り裂いてくれてる

「ジターバグ」/ELLEGARDEN

って歌詞があって。

細美武士の思う「君の声」はきっと別の人だと思うんですけども、俺たちからしたら細美武士の声がいつも俺たちのことを見てくれている人、助けてくれる人なんだなっていうような感覚があったんですよ。

なので、歌詞を自分に置き換えた時にすごくいいなって思ったのが印象的ですね。

ーエルレの曲たちって、彼らがいてくれてるから大丈夫だ、みたいな気持ちにもなれるというか。しかもわかりやすいメロディーだからこそ、歌詞が響いてくるとかもあるんですかね?

絶対あると思いますね。

エルレの魅力をお話する中で、絶対に知っておいた方がいいと思う一つなんですけども、曲が超単調なんですよ。

めちゃくちゃ簡単で、例えば僕ギター弾いたりするんですけど、簡単なコードしか使ってないし、構成もシンプルなんですよ。

ー同じコードをループしていきますよね。

有名な曲でも、全部でコード5〜6つぐらいしかない。

でも、単純でシンプルなのにかっこよく聴こえるのはなぜかっていうと、細美武士の作るメロディーのポップセンスがあって、それに絡む生形真一のギターが繊細で。

これはELLEGARDENにしかできないなって思っているんですよね。

ー今でも中高生などにもコピーされまくってて、すごいですよね。私もベースでコピーしてましたし。

本当に老若男女に愛されてるなって思います。

ー私の話になっちゃうんですけど、私が中高〜大学の時ってELLEGARDENがずっと活動を休止していたタイミングだったので伝説みたいなバンドでしたね。

多分僕世代ってエルレ世代の方々で言うと若干下にあたるんですよ。

もうそれこそ大学1年の夏で確か活動休止してて…あ、年齢バレちゃう!まあいいや!笑

活動休止する直前にライブ行ってたら活動休止してみたいな。

ー活動休止発表されたときってどういう心境だったんですか?

呆然とした活動休止発表

呆然としてましたね。

活休が発表された5月に僕は何も考えずに普通に学校に行ってて、当時彼女だった妻からメールが来て「大変なことになった!」って連絡があったので何だろうと思ってネットの記事見たら「ELLEGARDEN活動休止!?まじ!?」ってなって。

ー想像もしてなかったことが!っていう感じですよね。

そうです。この前アルバム出して、これからなのになんで?!みたいな。

詳しくはROCKIN'ON JAPAN(通称:ロッキン)でって書いてあったので、ロッキン読まなきゃって買って。

ーなんて書いてあったんですか?

簡単に言うと、今までめちゃくちゃ頑張って同じ船に乗ってワーっと走ってきた。

けれども、活動の中で1人1人の方向がちょっと違うから一旦ここで止めて、別の道に進むのもいいんじゃないの?また戻ってきてやればいいじゃん!みたいなことが書いてありましたね。

ーONE PIECEみたいですね!

そうですまさに!

当時のONE PIECEはまだ離れ離れになってないんで、ELLEGARDENが先にそれやっちゃいましたね。

ELLEGARDENボーカル・細美武士の経歴

ー細美さんの影響って膨大ですね

ELLEGARDENは曲も歌詞もほとんど細美武士が作っているので、この人は一体どういう人生を送ればそんな曲が作れるのかっていうのが気になって調べたんですよ。

ーそしたら?

そしたら、元々は千葉のヤンキーでした!

高校中退して、当時好きだったバイクレースにハマってプロのレーサーになるぞっていう気持ちでやってたけど20歳ぐらいのときに辞めて。

その後、独学で勉強をして神田外語大学に入ったんですよ。

卒業後、海外で仕事をしたいって思ったらしくて、出来もしないコンピューター使ってサンフランシスコのプログラム会社に就職してました。

会社の人には「お前出来んの?」って言われて、本当は出来ないけど全部「出来ます!」って言ってたら通ったらしい(笑)

ー履歴書詐称してたってどこかで見たことあります(笑)

そんな感じで入社した会社で「これよろしくね」と分厚いマニュアルを膝の上に置かれたままでわからねえなって仕事をしているうちに、データを移すのに当時主流だったCD-ROMではなくフロッピーディスクを使ってしまってあたふたしたっていう話があって。

それで上司に怒られたのをきっかけに辞めようってなって、東京に戻ってきたんですよね。

ー波乱万丈ですね!

東京戻ってもバンドで食っていこうなんて思わずにサラリーマンをやっていたみたいで。

好きだったギターで、ノリでバンドやろうかなみたいなときに生形にバンド誘われて、仕事にするつもりはなくてもいいならって承諾してELLEGARDENの活動が開始されるんですよ。

ーそもそも生形さんと繋がりがあったってところで私はすごいなと思っちゃいますけどね!

多分互いに違うバンドを組んでて、あのギター面白いじゃんみたいな感じで声かけられて。

生形さんと一緒にバンド組んだときも、確か細美さんはギターだったんですけど「お前ちょっと歌ってみろよ」って言われて歌ったら「良い声してんじゃんお前ボーカルな!」みたいな、そんな感じで決まってたはずですね。

ー細美さんって歌声も素敵かつカリスマ性もあるなって思うんですけど、生形さんもそういうところに惹かれたんでしょうね。

そうですね。

音楽は元々好きだったみたいなんですけども、どういう人に影響を受けたかって質問に第1にWeezerっていうバンドが出てくるんですよ。

パワーポップバンドで、ボーカルギターのリヴァース・クオモのことを天才だなって細美武士が思ってるらしく、その人の声の使い方だとか、ギターのメロディーの作り方だとか、本当に尊敬しているみたいなことを言ってて。

エルレに「Cuomo」って曲があって、リヴァース・クオモのことを歌った曲なんです。

ー歌詞にしちゃうくらいに尊敬しているんですね!

Weezerのめちゃ有名な『Weezer(The Blue Album)』っていうのがあるんですけども、曲が全体的にクリスマスっぽい雰囲気があって、細美さんもそのクリスマスっぽい雰囲気がすごく好きらしいんですよ。

ポップ、パンク、グランジの最良の面をブレンドしたウィーザーのデビュー・アルバム。「In The Garage」や「The World Has Turned And Left Me Here」といった際立ったトラックで、ウィーザーは当時としては新鮮だったおたく系ロックというコンセプトを広く世間に知らしめた。

ー​​「サンタクロース」とか!

クリスマスのイルミネーションがキラキラ輝いていて、外がとても寒い中親子が手をつないでケーキ買って帰ってる。そんな心がほっこりするような情景が細美武士自身すごい好きで。​​

そこからインスピレーションを得て、クリスマスっぽい曲をロックバンドでやったらどうなるかなって思って最初の方は曲作りしてたみたいなこと言ってて。

その情景が僕もすごい好きなんで、めっちゃわかるなって思ったのをよく覚えてますね。

ー今の話含め、細美さんってすごい愛が深いなっていうイメージではあるんですけれども、そんな感じの人なんですかね?

愛は深いでしょうね。

さっきのリヴァースの話も然り。

元々はあんま友達いないタイプだったと思うよあの人(笑)

ーちょっとわかる(笑)

後半につづく

ハルさんが初心者の人にオススメの30分ほどで聴けるプレイリストを作ってくれたので、是非聞いてみてください◎

ELLEGARDEN HP
https://ellegarden.jp/

取材協力:ハル(untitled / ワイフェス / UTAGE)
https://twitter.com/h_a_r_u_1_3

インタビューワー:moolee(PARA CLASSIC)
https://twitter.com/mooleesan

  • ブックマーク
  • -
    コピー