アーティストの良さをそれぞれの角度から語ってもらう企画「某アーティストのマニアに聞きました。」 #ボーマニ。
今回は「打首獄門同好会」について、名古屋を中心にDJ活動をしているDJヘポポタマス(Make tHe RadiaNT fieLd / CORKSCREW)さんにお話をお伺いしました。
ーよろしくお願いします!
よろしくお願いしまーす!DJヘポポタマスです。
打首獄門同好会が好きすぎて仕事を辞めてしまったDJヘポポタマスさん
ー簡単にまず自己紹介をお願いしてもいいですか?
「Make tHe RadiaNT fieLd」(通称:レイディアント)と、CORKSCREW(通称:こーくすくりゅー)というDJイベントで、馬鹿騒ぎをしています。DJヘポポタマスと申します。
ー今回は打首獄門同好会(通称:打首)について語ってもらうんですけれども、打首が好きすぎてお仕事を変えられたって噂が…(笑)
打首獄門同好会の武道館でのワンマンがありまして、その時に「会社を休めないかも」って上司に言われて。「じゃあ辞めます」って辞めてきました。
はははは(笑)
ーははは!強いですねぇ(笑)
特に次の仕事とかも何一つ決まってないのに(笑)
ーまさにボーマニ向きだと思って、速攻でオファーをかけさせていただきました。ありがとうございます!
ありがとうございます。
ーでは早速本題に入っていきたいなと思うんですけれども。まずは打首をご紹介いただいても良いですか?
打首獄門同好会は、もう17〜18年ほど活動している比較的長いバンドです。
現在は、ドラムのアスカさんと、ベースのjunkoさんと、ギターボーカルの大澤会長っていう3人組で活動してまして。
特徴としては「生活密着型ラウドロック」というジャンル。
ー生活密着型ラウドロック?
聴いたことがある人はもうわかると思うんですけど、ご飯が美味しいという内容の曲だったり、「布団の中から出たくない」という曲だったり。
自分たちの普段の生活で感じるようなことを、(いい意味で)乱暴なサウンドに乗せて演奏してるという、変わったバンドですね(笑)
ー面白い曲だなと思ってアーティスト名見てみると打首だったことはよくありますね。
そうですよね。
特徴的、というかすごいかっこいいサウンドなのに歌ってる内容が小さなことだったりとか。そういうことが多いので。
ーうんうん。
自分たちの普段生活してる中に、打首さんの音楽っていうのが実は結構あるんだなっていうのがすごく垣間見える不思議なバンドですね。
あんだけ暴力的なサウンドってそう、あんまりないのに。
ー「日本の米は世界一」とかも。
大澤会長が本当に思ったことを歌詞にしてるので。
この曲を作った時は、米が美味しかったんだなって思いますね。
ー内容は「わかるわかるー!」みたいな。
自分たちにも普段生活してて普通のことを、これだけこう、高らかに歌い上げてくれるっていうのは一つの魅力ですね。
ーそうですよねえ。他には魅力ありますか?
打首の魅力、ですか。
たくさんあるんですけど。
ーありますよね!
すごくキャッチーで、わかりやすい曲っていうのが一番大きいのかな、と思います。
ご飯が美味しいとか、お布団から出たくないとか、そういうわかりやすいものがあって、それを激しい音の中に入れ込んでいる。
ライブで暴れたい人たちも、ただヘッドホンでじっくり聴きたい人たちも、どっちにも刺さるようなサウンドと歌詞なのも魅力の一つですね。
ーライブでもヘッドホンでも、どっちでも聴きたくなるんですね。
そうですね。
普段、僕はどちらかというとあまりヘッドホンでは曲を聴かない方なんですけど、ヘッドホンでも聴きたくなるし。
ーはい。
でもやっぱりライブに行って目の前のステージで歌ってるのを見て、今まで生活してきた中で「あ、そういえばそんなこと思ったな」と思ったりとか。
そういったことが頻繁に起こるんですよね。
不思議なバンドですね。はははは。
ー不思議でよねー!
打首さん以外のバンドで、例えば失恋したときに失恋ソングを聴くだとか、そういったシチュエーションによって聴きたい曲とかあると思うんですけど。
打首さんは生活に寄り添ってるというか。
感情にはあまり左右されない、本当にただあることを歌ってるので、わかりやすい。
ーヘポさんはどういうきっかけで、仕事を辞めるぐらい打首にのめりこみ始めたんですか?
元々別のバンドのライブを観に行った時に、対バンが打首獄門同好会で。
ーそうなんですね!
打首さんのライブって前情報なしに見るとすごい衝撃的だったんですよ。
ストレートな歌詞をすごく乱暴なサウンドに乗っけてやってる、だからこそ歌詞が伝わらないと面白さがわからないということで、VJが常駐してるんですよね。
だからバンド体制としては3人なんですけど、現在は風乃海くんというマネージャーも兼任されてる人が一緒にステージにあがって、画面にでかでかと歌詞を出してます。
ー最初は衝撃的でしょうね。
この人たちは今この曲を歌ってるんだというのが直ぐにわかるので、曲自体を知らなくても楽しめるんですよ。
僕はそれで好きになりました。
ーちなみに誰との対バンだったんですか?
僕が観に行ってたのはBRADIOとの対バンでしたね。
ーBRADIOと!
他にも、トリをガガガSPが務めていたイベントでも、一番意味わからないことを歌ってるなっていうのが打首獄門同好会でしたね(笑)
ーガガガSPとの共演でも印象に残りまくる打首さん!他にも魅力はありますか?
『10獄放送局』の企画たちが毎回笑える
外せないところでいうと、音楽の話ではなくなるのですが『10獄放送局』という、彼らが作っているインターネット番組がありまして、音楽と関係ないことをずっとやってますね(笑)
ーYouTubeでも載ってるやつですね!どういうことをやってるんですか?
「上野ZOO」という、上野動物園にいる動物をただ連呼するというだけの曲があって。
その動物が、何年か経った今実際にどうなってるのかっていうのを観に行く、という企画をしてましたね。
「あー、いたいた!」とか「あの動物はもういなくなってる」とか。ただそれだけの企画。
その後には「ジュンコクッキング」という、ベースのjunkoさんがカレーを作る企画だったりとか。
後は、そもそも番組自体に「水曜どうでしょう」のオマージュが多いので、実際に東京から北海道まで原付で走るという企画をしてたりですね。
そういったところから『10獄放送局』が始まって、もう全然バンド関係ないことやってるんですよ。
ーいいですね、エンタメ要素があって(笑)
そうですね!
音楽以外にもあの手この手で面白いというものを体現して楽しませてくれる要素が多いバンドだなと思ってます。
ーバンド自身が楽しんでるなという印象もありますね。
バンド自身が楽しんでるといえば『10獄放送局』で、アシュラシンドロームというバンドのボーカルの青木亞一人さんを巻き込んでたりも、彼らの楽しさが見えますね。
打首さん気になる人がいたら、曲聴くのももちろんいいのですが、とりあえず『10獄放送局』見てもらえたら大体わかると思います。
ー確かに面白かった(笑)あと衝撃的だったのがjunkoさんのお歳。
外せないですよね、そこは!
発表された日は衝撃的過ぎてTwitterで意味不明なことを書き殴ったりするぐらいには衝撃が走りましたね。
ーおいくつなんでしたっけ?
今(2021年現在)63歳ですね。
ーすっごいお若く見えますよね?
ギャル服・金髪・ロングヘアーがね!
さらに不思議なのは、味覚。さっきご紹介した『10獄放送局』の中のカレーを作る企画で、すごく辛いカレーを作ってて。
瓶に入ってるハバネロの半分ぐらいを入れて、さらにデスソースもいっぱい入れて、みたいな。他のメンバーに食べさせると「痛い痛い」ってなるくらい無茶苦茶なカレーを作るんですけど、本人が食べると「ちょっと塩が足りなかったなあ」って言いだすんですよ。
体力も不思議で、例えばライブになるとダイブもするし、頭も振り乱してるしで。
しかも、よく見るとベースのストラップの部分が鎖なんですよ。
ーすごいな…(笑)60歳超えてあそこまで活発だと、私たちも元気もらえますね。
60歳になってもああいうことができるっていう証明になるので、僕らみたいな年代が人生に疲れただのとか言ってられないなと思いますよね。
ーそうですよね。そういうところも唯一無二の魅力ですね。
他のメンバーも魅力的な人が多かったり。
ーそうなんですね!
僕が思うに、大澤会長自身がやっぱりそういう魅力的な人を引き付けるのがうまくて、まずはメンバーのアスカさんやjunkoさんが集まってきて。
そこに『10獄放送局』で巻き込まれた青木亞一人くんだったり、番組のディレクターのチダケイイチさんというただの会社員なんですけどめちゃくちゃ面白い発言が多かったり編集もすごい面白い人が集まってきて。
打首さんに巻き込まれてる人たちも含めて面白く観ていただければなって思います。
ー大澤会長ってどういう人柄の良さなんですか?
バンドのツイッターアカウントって基本公式があってメンバー個人が持っていることが多いとじゃないですか。
打首の公式アカウントは大澤会長が運営してて。
ちゃんとした公式の話もすれば、ゲームが好きな人なのでどうぶつの森を買って遊んでますって日常的なことをつぶやいてたり。
このアカウントは公式マークは付いてないけど
— 打首獄門同好会 (@uchikubigokumon) January 20, 2021
生活密着型ロックバンド打首獄門同好会の公式アカウントです
と見せかけて
ギターヴォーカルの大澤が勝手気ままなツイートしたり
あげくバンドと全然関係ないどうぶつの森の写真まで載せ出す
公私混同アカウントです、なぜなの
てかもう300日もやってたの pic.twitter.com/u4I6NuwtWG
言葉の選び方がすごく丁寧な人なので、誰も傷つかない言い方で彼自身が思うことを書いてくれたりだとか、そんなほんわかする人ですね。
ーザ・いい人なんですね!
いい人ですね。
後はもう自分のやりたいことをずっとしているというか。
もともと大澤会長はギタリストで入ったんですけど、ボーカルが居ないどうしよう、全然見つからないからじゃあ自分で歌う、みたいな。
でも歌詞はちゃんとしたのが書けないからとりあえず思ったことを書こう、という感じでまずはバンドが始まって。
「水曜どうでしょう」というテレビ番組が好きだから番組も持っちゃおう、って感じでやりたいことをずっと続けている人たちですね。
ー面白いなあ。打首っていろんなことをやり続けてる印象があるんですけど、ライブで楽しめるグッズも作ってませんでしたっけ?
特長的なのが「New Gingeration」という岩下の新生姜のことを歌ってる時は、岩下の新生姜のペンライトを光らせて振るっていうことが発生してたり
「デリシャスティック」という曲でうまい棒のことを歌ってる時は、うまい棒を持ってきてお客さんに配って、サイリウム代わりに振ったり。
不思議な光景が見られますね。
ー飽きなさそうですね。
箱がオッケーであれば食べるもよしなので、その場で食べる人もいたりだとかで、それぞれの楽しみ方をしていますね(笑)
ー楽しそう!ここまで読んで、打首のことを気になってくれた人もいると思うのですが、初めて聴く人に対して、まず聞いてほしい曲ありますか?
そうだなあ。
打首さんの曲って何を歌っているかタイトルでわかりやすいので、まずはタイトルをバッーっと見ていただいて。
例えば、今日のご飯は肉だったなと思ったら「ニクタベイコウ!」って曲を選んでもらったり。
会社行きたくないな、布団から出たくないなと思ったら「布団の中から出たくない」でもいいですし、最近暑くなってきたなと思ったら「なつのうた」を聞いていただいたり。
本当に生活に寄り添っているバンドなので、タイトル見て気になった曲を拾ってもらえたら。
ーそうしてもらいましょう!
どうしても1曲選べと言われたら、めちゃくちゃ古い曲なんですけど「音楽依存症生活」という曲を是非聴いてほしいですね。
コロナ禍でライブに行けなくなったりもありますが、やっぱり僕たちは音楽というものがすごい好きで。というのを歌ってる曲ですね。
音楽に依存してるので、僕たちは。笑
特にDJイベントやライブに行ったりすることが多い人に聞いてほしいですね。
打首さんふざけてる曲多いんですけど、本当に俺たちは音楽が大好きだっていうことを歌ってる曲。
ー楽しい曲多いですが、それだけではないんですね。
僕自身のDJのプレイスタイルにもしていきたいなって思っているのが、打首さんの最大の魅力でもある「全方位型のエンターテインメント」だと思うんですよ。
本当にお客さんを楽しませることに抜かりのないバンドで。
そもそも打首獄門同好会がああいう曲を歌うようになったのは、お客さんが面白がってくれたから、というところから始まってるんです。
ーそうなんだ!
元々はまじめな歌も歌ってたんですけど。
ーへー!
まじめな歌よりも、笑ってもらえるものの方がいいなと思って。
VJ入れて歌詞をわかりやすくしたらどうだってやってみたらお客さんが笑ってくれたから、じゃあVJもずっとできるようにしようみたいな形で、ずっと続いていたりだとか。
ーなるほど!
コロナ禍で東京のツアーファイナルが中止になってしまった時に、ただ中止で終わらせるのは面白くないからという理由で、お客さんは入らないから赤字だけど、さらにお金をかけて撮影機材を入れてYouTubeで無料配信しよう、というのを一番最初にやったバンドは打首だと思います。
その後、コロナ禍でいろんなバンドが配信ライブや録画ライブをするようになって、打首さんたちも録画ライブの販売するよって言っていて。
ライブハウスかどこかから配信するんだろうなあと思っていたら、僕の予想をはるかに超えて360度カメラを使って前も後ろも全部に映像出して、それをVRゴーグルで観るっていう。
ーそんなこともやってるんですね!
いつもファンの予想を大きく上回るようなものを作ってくれて、次はどんなことで楽しませてくれるんだろうというのを魅せてくれるバンドですね。
ーわくわくですね!
周りの人からは「あの米のバンドだよね」「うまい棒の曲があるバンドだよね」「不思議な曲歌うバンドだよね」って言ってもらったるすることが多いんですよ。
ただ、僕としては、どこまでもエンターテインメントをし続けてくれてるバンドなのでそれ以上に、次は何をしでかしてくれるのかなっていうワクワク感の強いバンドだと思ってます。
ーこれからの動きもすっごい楽しみですね!
打首獄門同好会を感じ一文字で表すと「獄」
ーそれでは最後に打首獄門同好会を漢字一文字で表すならヘポさんは何と表しますか?
僕はもう打首さん漢字一文字で表すならこれしかないです。
ー「獄」ですね!
はい。「獄」という字です。
今日の僕の服、背中も「獄」で。
お客さんもバンド自身もこの漢字を背負って活動していて、漢字一文字で表すならというより「獄」という字そのものが僕にとって打首獄門同好会を表す漢字になってるので、一文字で表すなら「獄」しかないと思います!
ーそうですね!それしかないなと私も思いました(笑)打首が気になった方いたらライブ行ってもらって。ヘポさんを見かけたら交流していただきつつ、楽しんでいきましょう!
ありがとうございました!
ーありがとうございました!