アーティストの良さをそれぞれの角度から語ってもらう企画「某アーティストのマニアに聞きました。」 #ボーマニ。
今回は「UVERworld」について、名古屋を中心にDJ活動をしているDJつづきともみ(斬る’em ALL)さんにお話をお伺いしました。
ー今回はUVERworldを語っていただきます、つづきともみさんに来ていただきました!いい笑顔です、よろしくお願いします!
いぇーい!よろしくお願いします!
※このインタビューは2021年5月に収録したものです。
UVERworldオタク愛知No.1のつづきともみさん
ーまずは簡単な自己紹介をお願いしてもいいですか?
はい!名古屋で一番かっこいいDJつづきともみです、よろしくお願いしまーす!
そして、名古屋で一番楽しいイベントやってる斬る’em ALLというのを自分で立ち上げて今までやっております!
UVERworldオタク愛知No.1ですのでよろしくお願いしまーす!!!
ーありがとうございます!もうUVERworld(以下UVER)と言ったらつづきさんだなって。「No.1」って曲もありますもんね。
私、事前にmooleeさんを脅したんですよね。UVERworldを語るって時にあたしを呼ばなかったらどうなるかわかってるだろうな?って言っといたんで(笑)
ーそれくらいUVERworldの魅力を語っていただけるということなので余すことなく聞きたいと思います!
よろしくお願いします!!
ーつづきさん、早速なんですけど一枚画像を作ってきてくれたと思うんですよ。せっかくなのでこの画像を見ながら今回お話しを聞いていきたいと思います。
OKです!
ー色んなワードが書いてあると思うんですけど、一つずつ説明してもらってもいいですか?
この画像を一枚でパッと見てUVERだっていうのはなかなか気付きにくいと思うんですけど…
ーそうですよね。結構闇が深いなって思ってました!
UVERってイメージでは明るくて、ポジティブで陽キャでパリピみたいな。
ーそんなイメージある。
ね。
多分流行った曲が「シャカビーチ~Laka Laka La~」とか「SHAMROCK」とか比較的アップテンポで明るくて太陽の下で歌ってるみたいなイメージの曲が多いからだと思ってはいます。
ただ、実はUVERって、仲間を一回奪われてるとか、ツアーが中止になってアルバムが延期になったりして。
画像の一番下に限りなくネガティブな力ってワードあるんですけど、私が好きなUVERのはポジティブな力ではなく…ネガティブな力。
ネガティブな力から発せられる苦しみ悲しみ、そして生きるということが実はUVERworldで。
画像のワードは全部UVERworldの話なんですよ。
ー肯定的な死ってワードもネガティブもいいところですよね。
そう、本当に。
死ぬっていうテーマがむっちゃくちゃ多いんですよ。
ーそうなんだ…ひとつひとつ、簡単に説明していっていただいてもいいですか?
まずですね、「仲間を奪われた過去」「幼馴染」からいきましょう。
UVERworldは幼馴染から結成されたバンドで、仲間を奪われた過去がある
UVERは幼馴染で結成されてるんですね。
学生時代の友達とか、なんなら幼稚園から友達だったっていう人達で、今は6人組のバンドです。
実は、結成は6人だったのにソニー・ミュージックレコーズ傘下のgr8!recordsからデビューする時にこの1人が要らないってなったんですね。
本人達は「その一人は楽器が下手だったんだよ~」とか言うんですけど、曲の中では事務所とか社会とか大人のせいでこの一人がデビュー出来なかった過去が分かります。
だからUVERworldはデビューした時5人だったんですよ。それが幼馴染…仲間を奪われた過去っていうのに繋がってきます。
ーなるほど。
仲間を奪われて5人でデビューしたUVERなんですけど、なんと2枚目のアルバムを出す前にボーカルのTAKUYA∞が逮捕されちゃったんですよ!
ーなんと!
私は1枚目のアルバム『Timeless』から偶然応援していたんですけど、2枚目のアルバムよしきたなと思っていたらなんとツアー中止 、そしてアルバム延期。
ということで2枚目のアルバムからもう…やらかしちゃったんですね。
ーちなみにどういったきっかけで逮捕されたんですかね?
これはですね、公務執行妨害とだけ言っておくんですけど簡単に言うとやんちゃですね。やらかし。内容はご想像にお任せします(笑)
なので最初のスタートがあまり良くなかったんです。仲間が奪われて5人になり、ツアーは中止でアルバムが延期になった。
ーそれだけで終わると思いきや?
そうなんですよ。
まずはもちろん復帰するじゃないですか。
復帰後の延期したライブに行ったら、TAKUYA∞は髪の毛を短くしていて謝るわけですよ。「俺はとんでもないことをしてしまった」って。
そのやってしまった行為に対してと言うよりもあなた達を裏切ってしまった、ファンの皆に俺は歌うべきなのに何をやっているんだって。
自分対自分で向き合っている、突っ走ってきたTAKUYA∞が一回落ちて、そこからもう一回這い上がっていくっていうドラマがもう、2枚目のアルバム『BUGRIGHT』に詰まってる。
画像のワードの中の「自分対自分」まで説明させていただきました。
ーなるほど。ネガティブな力を前に進む為の原動力にしてるんですね。
そう、その通り。そうなんですよ。
画像に「肯定的な死」ってワードもありますけど、ここからTAKUYA∞は上手くいくと思いきや友達や親戚とかが亡くなることが多くなってきたんですよ。30歳近いとそういう悲しいお知らせをよく聞くようになるんですよね。
TAKUYA∞もTAKUYA∞で、メンバーもメンバーで、そういう周りの死に直面した時に「俺らは一体何を得たくて生きてるんだ?」っていう感情に繋がっていくんですよ。
その気持ちをTAKUYA∞は胸ポケットに入れてる小さいメモに書いて。「何故生きてるんだろう?」「何で僕らは音楽をやっているのか?」っていうようにね。
昔はいつも胸ポケットがついてた服を着ていて、それで思いついたらすぐ出して書く、しまうというのを繰り返していた時があったんですよ。
ーうんうん。
そのメモにネガティブな言葉であり、どうやって生きるのかどうやって死ぬのか。そういう深いところまで書いてあって。
メモの内容が何かっていうと、歌詞なんですよ。UVERのこれから出来ていく歌の歌詞がここに書いてあって、それが独特なんですけど、また後で説明しようと思います。
肯定的な死
ーまずは「肯定的な死」についてですかね?
はい。今UVERworldは10枚のアルバムを出していて。
そうですね、アルバムの中で2〜3割くらいはネガティブな曲があるんですよ。
ー例えばどんな曲がありますか?
TAKUYA∞が逮捕されちゃったよって時の2枚目のアルバム『BUGRIGHT』では「LIFEsize」っていう曲があります。
この曲はネガティブではないんですけど、僕達がどうやって今後生きていこうかって曲で。
彼らの音楽って、形のないものを追っていくんですよ。どうやって生きていけばいいんだー!ってモヤモヤを周りの友達とかに笑われてもいいし、信じられる人は信じて胸張って生きていこうっていう曲があるんですね。
ーはい。
で、3枚目のアルバム『PROGLUTION』には死んだ後の世界を歌った「神集め」っていう曲があって。
これはおとぎ話みたいな感じで死んだ後、どういう風に世界は成っているんだろう?という感じの曲。
ここからTAKUYA∞が死ぬっていうことにロマンを感じるようになるんですよ。
ー(相槌)
で、4枚目のアルバム『AwakEVE』に入っている「畢生皐月プロローグ」でなんと
生きるって面倒くさいな
「畢生皐月プロローグ」/UVERworld
って歌詞をサビに持ってくるんですよ!
ーあの歌詞キャッチーですよね!
そうそう、生きるって面倒くさいって言っちゃってるんですよ(笑)
もうええやろ!っていう風になっちゃてるのが4枚目で早々にきてしまってます。
で、生きるって面倒くさいとか言ってる割に最後「YURA YURA」って曲では自分は愚かだなって感じで
隠し持ったそのナイフで
自分の哀れさを突き刺す
「YURA YURA」/UVERworld
という歌詞がある。
なので、アルバム1〜4枚目でここまで来てるんですよね。迷って、生きるの面倒くさいなあ、でも愚かだから自分を殺そうみたいな(笑)
ー人生3倍くらい生きてますね、その段階で(笑)
そうそう!(笑)
で、「YURA YURA」の後、UVERは肯定的な死を見るようになったんですよ。自分の中の自分を殺して、肯定的に死んで、それで生きていく。
死後の世界がキラキラしてるかもしれないからもう、そこを楽しみにしよう!生きるのも死ぬのも楽しい人生にしようっていうところで死ぬっていうことに肯定的になっていくんですよ。
そこから肯定的な姿勢がずっと続いてて、もう言い出したらキリがないんですけども。
ー1、2時間くらい余裕でいけそうですもんね(笑)
次が私の一番好きなUVERworldのポイントでもあって。
私達のネガティブを肯定的に力にしてくれるって曲が多いっていうことは今お分かり頂けたと思うんですけど、その先の6枚目のアルバム『LIFE 6 SENSE』には「いつか必ず死ぬことを忘れるな」ってタイトルの曲があったりだとか
7枚目のアルバム『THE ONE』には「23ワード」っていう曲で死んだあとここで合流しようよっていう合流場所まで決めちゃってる曲まであるんですよ。
ー死をすごい肯定してますね。
肯定してますよね。
なので画像の「肯定的な死」ってワードのは各アルバムに隠された、死ぬ生きる、どっちも肯定してくれるUVERworldっていうことですね。
ー私、UVERworldを死というワードを結びつけたことなかったです。
大きな挫折を味わって、それでも皆を寂しい想いにさせてしまった自分の愚かさ、失敗も全て経験に活かすTAKUYA∞がすごく好きなんですよ。
ーさらにちゃんと言葉に落とし込んで伝えてくれますもんね。
そうなんですよ。
次は死ではないんですけど、お前もこうしろよって曲があるんです。
そんな「7th Trigger」は、自分の哀れさを突き刺すとか言ってた今までと打って変わって、色々培って皆に元気を与えられるとわかったUVERが「俺達はこうだよ、お前はどうなの?」っていう曲を出すことになるんです。
これは7枚目のアルバム『THE ONE』にたくさん入ってます。
「Don't Think.Feel」では
好きなようにやれ
そして俺に指図をするな
「Don't Think.Feel」/UVERworld
とか言い出したり強気で力を与えてくれるアルバムなんですよね。
独特な言葉のちぎり方や二重語
実はここからがまたUVERの特徴で。
サビって普通はAメロがあって、Bメロがあって、次はサビ!ってわかりやすいじゃないですか。
ーそうですね。
歌詞も〇〇だよ~△△だから~◇◇~みたいな感じでちゃんと文章が成っているんですけど、「7th Trigger」の歌詞は
競争社会で気になってる
横 横 じゃねぇぞ
Ifはない
「7th Trigger」/UVERworld
こんな感じでBメロとサビの間で言葉をちぎるんですね。
だって普通だったら「気になってる横を見てるんじゃないよ、こっちを見ろよ」ってBメロでまとめると思うんですが、ひとつの文章をわーってちぎっちゃうんです。
ーなるほど。
こんなところで言葉をちぎるの?ってなるんですよね(笑)
ちょっと前の話に戻るんですけれど、胸ポケットに仕込んであったTAKUYA∞のワードがたくさん書いてあるメモにきっとそういう内容が書いてあったんですよ。
で、勢いのままに「7th Trigger」の歌詞にバーッて乗っける時にAメロBメロに入りきらんかったんですよ!
だから私の考えでは、サビまで言葉をちぎって持ってったっていう。
ー伝えたいこと詰め込むのって大変ですよね。
今流行りの例えばOfficial髭男dismとか私も大好きで、有名な曲で言うと
グッバイ
「Pretender」/Official髭男dism
でサビに入るじゃないですか。一回そこで完結する。
UVERworldは完結せずに、歌詞歌ってるままサビに入るんですよ!(笑)
ーしかもそれでいて「7th Trigger」は爽快感というかスピード感が止まらないまま進みますもんね。
Bメロ聴いてる私達は一体どうやってサビ入んの?みたいな。
まだ喋ってるじゃん?みたいな。
ー気がついたらサビまで巻き込まれているみたいな(笑)
そうそうそう(笑)
まだ喋ってるのにどうすんの!?って思ってたらそのままサビに入ってる。
ーそこら辺が画像のワード「無駄な二重語」と関係してくるんですかね?
この二重語ってワードは私が名付けました。
2017年に発売された30枚目のシングルに「一滴の影響」っていう曲があって、その歌詞に
バタフライ 蝶が羽ばたく
「一滴の影響」/UVERworld
っていうのがあるんですよ。
ーあ!確かに二重ですね。
あれ、さっきバタフライって単語聴いたな?みたいな。
あと、ライブ中の煽りでも「衝撃的インパクト!」って言うんですよ。
あれ?同じこと言ってんな?みたいな(笑)
ー確かに!
こういうことが多くて、意図的にやってんのか未だにわからないんですけど(笑)
ー(笑)
私2021年に歌手デビューしまして、「FOR ALIVE」の歌詞の中に
フリーダム 自由へ
「FOR ALIVE」/DJつづきともみ
っていう言葉を入れたんですよ。
二重語に気付いたら、つづきさんUVER好きやなって気付くと思うんですね。
ーそういう秘話が!
世間ではダサいって思われてるかもしれないことを、UVERは堂々とやっちゃうんで私達も麻痺して「かっこいい!」ってなっちゃうんですよね。
ーUVERworldって、一歩間違えたら中二病でダサいねって言われるような曲を何故かめちゃくちゃかっこよく歌えちゃうんですよね。
そうなんですよ。
ー自分に対して限りなく向き合っていたりだとか、生死に対して肯定的に受け入れてるからこそしっかり伝わるのかなと思うんですけど、どう思います?
あとはもう、圧ですね!(笑)
UVERworldの「これが俺達のかっこいいなんだぞ!!!」って圧に負けちゃう、グッてきちゃいます!
ーあ~そこかぁ!!UVERってどんな人には是非聴いてほしいってありますか?
んーっと…死にたい人ですね。
ホント些細なことでもいいので、1回でも死にたい、もう消えて無くなりたいって思った人には必ず聴いてほしいなと思います。
ーちなみに初めに聴く曲って何が良いですかね?
2019年に発表された「Touch off」という曲ですね!
ー「Touch off」
はい。10枚目のアルバム『UNSER』に入ってて、「約束のネバーランド」っていう週刊少年ジャンプのマンガがアニメ化された時のオープニングテーマになってます。
なのでCMでも流れてますしっていう入りやすさもあり、さっき言った二重語があるんですよ。
「Touch off」って炎がテーマというか炎という言葉がよく出てくるんですよ。で、炎とかFIREとか色んな文字で火を点けてくるんです、この曲は。
言葉のちぎり方も含め、私が今説明した部分がギュッと入ってるのが「Touch off 」だと思います。
ーなるほど!
「Touch off 」ね、聴いたらすごいグッとくるんで!
一番の聴きどころは、曲が終わる最後の30秒くらいですのでそこで死にたいって落ち込んでる人がグッと堪えて人生やってみようと思えたのなら、今回私の勝ちですね!(笑)
ーわかりました、ありがとうございます!
UVERworldを漢字一文字で表すと「戦」
ー残念なことに時間が近づいてきてまして…最後にUVERworldを漢字一文字で表すとつづきさんにとってどんな漢字になりますか?
んーーーー
「戦」っていう字ですね。
ー「戦」!私、「死」っていう漢字がくるかと思ったんですけど「戦」なんですね。
うん!
UVERworldは自分と向き合って戦ってるんですよ。
その戦ってる相手は自分の中のネガティブな部分だったり死だったり、失敗したこととか本当に色んなところで戦ってるんですよ。
今このコロナ禍でUVERworldは絶対にそっちとも戦うんですよね。
なので自分とも戦いつつ、その得たパワーを皆に与えて、そして皆でこの状況と戦うっていう常に戦い続けるUVERworldを応援し続けたくて。
そして、死ぬっていうことに対してさえ戦うUVERworldには「戦」っていう文字が良いかなと思いました。
ー綺麗にまとめていただいてありがとうございます!最後にここまで読んでくれた皆さんに向けて何か一言お願いします!
実は私はですね、自殺未遂をしたことがあります。
今まで内緒にしていたんですけど最近ブログとかにも書かせていただいて、皆さんに公にすることにしました。
で、この自殺未遂をしたあと偶然にも生きてしまった時に発売したシングルが2013年に発表された「Fight For Liberty」というシングルで。
この曲の歌詞に
人生が二度あるなら こんな険しい道は選ばないだろう
でもこの一回 たった一回しかチャンスがない
「Fight For Liberty」/UVERworld
って書いてあって私はここまで生きる事が出来ました。
そんな命をくれたUVERworldが私はとても大好きです。
なんなら、自分の命を救ってくれたり、仲間をくれたり、本当命の恩人だと思ってます。
そんなただ事ではない、普通ではない、UVERworldを皆さん聴いてください、よろしくお願いします!そして一緒にライブに行きましょう!
ーありがとうございます!そうですね、皆さんライブ等でつづきさんにお会いしたら是非是非今日の感想とかをお伝えしていただけたらと思います!
是非!
ーつづきさん、ありがとうございました!
ありがとうございました!
UVERworld HP
https://www.uverworld.jp/
取材協力:DJつづきともみ(斬る’em ALL)
https://twitter.com/tomo58331
インタビューワー:moolee(PARA CLASSIC)
https://twitter.com/mooleesan
撮影:spot (SURROUNDTYPE / LIKE MAGIC!)
https://twitter.com/pellucid_night